ちゅうがっこの頃に吹奏楽部に入ったんだけど、
その時分、僕はビートルズのギターに夢中で、
ひたすら音楽が大好きになって、
何でも良いから
音楽に関する環境であればどこでも、どこまでも
そんな感じで「すいそうがくぶ」が練習している昼休みの音楽室に現れたんだな、たしか。
小さなちゅうがっこのすいそうがくぶは
なんの栄光もなく、なさけなく、
ただやることは、クソ野球部の応援と毎週月曜の全校集会でのケンタッキー(フライドチキン)マーチ。
なんの楽器がやりたいとか、なんの曲をみんなで演奏したいだとか、ナンセンスで、
僕はたまたま空いていたトランペットの2ndパートのポジションを与えられて
「ぷぃ」とお昼休みの40分を過ごしていたな、たしか。
ペこべこに凹んで、バルブもアンスムーズこの上ないし、上手い人なんかだれもいないし、練習曲もなく
ひたすらケンタッキー。
田舎にはケンタッキーチキンなんてないもんだから、
なんの香りもコールスローもない「あ、CMのね。」ってほどの馴染みのフレーズをひたすら繰り返していたな。
吹奏楽の2ndトランペットにキャッチーなフレーズなんて割り振られることもなく裏方で音もまともに出ないもんだから、「ふぃ」とさりげに管から息を通すだけの日々に辟易。エスケープ。
そんなトランペットの原体験は僕になんの爪痕をも残さず
大人になった僕は新宿ゴールデン街でチェットベイカーの「time after time」を聴いていた。
まさにそういうことであるよ。
それから数年後、
僕はひょんなことから「Couesnon」というおふらんすの工房のトランペットを手に入れてしまう。
ケニードーハムも一時期つかっていたんだとか聞いてぷるぷると感激してしまい、コイツにぞっこんである。
なにはなくともそいつのはいった古いハードケースを抱えて僕は街へと下る。
今の僕の頭には「ぷぃ」「ふぃ」なんて音はなっていなくて、チェットの歌うような可憐なメロディがつぶやいているから、
きっと大丈夫なんだと思う。
こいつにI've Never Been In Love Beforeなものを感じて、ことさらそれは音楽に対する感情なんだと知ったな。
で、自作でプラクティスミュートを霧吹きを使ってくっつけて練習の毎日なのさ。
嬉し恥ずかし。
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